奇種と言うのは、要するに突発的な病か何かだと思って居る。何時から騒がれて居るのかは良く知らない。元々は何かから感染すると言われて居たが、先天的に寄生された者が現れた事でそれは覆された。奇種の研究は進められて居るが、そもそも寄生された者を全て管理する事等出来る筈も無く、発生については結局謎のままである。解った事と言えば、大まかに凶暴な奴と温厚な奴の二種類が居る事位。そんな《未知》の域を出ないものを利用しようと言い出した者が居た。その試験場として、No.0に依頼が出された。当初は気が進まないと言って居た筈だが、此処最近は否定的な言葉を漏らさなくなった気がする。丸め込まれたのか、納得したのか……折れてしまったのか。
「えぇと……セイナさん?」
そう言う訳で、言われた通りNo.3と言う被検体に逢いに来た。彼女の名前は荊と言うらしい。
「No.3……ケイ、だね?」
「そうです。セイナって名前、女性かと思ってました」
無邪気な笑顔で迎えてくれたのは、真っ白な髪の少女。未だ子供では無いか。元は商品だったのだろうか?それともこの為にわざわざ……いや、下手な憶測は辞めて置こう。あの方がそんな事を考える筈は無い。だからこそ……
「近々奇種を使うらしくてね。色々聞きに来たんだけど」
「まぁ、セイナさんがですか?」
「いや、私では無く……」