「御久し振りィ。お腹の具合はもう良いの?」
数日振りに顔を見せた紫の少年に、一応仲間であるプレデラが声を掛けに来た。久し振りなんて言っては居るが、それこそうんざりする程一方的な連絡を毎日毎日寄越して居た。紫の少年の前にマグカップが置かれたが、彼はそれを自分から遠ざける。今は飲食に関わるものを見たく無かったからだ。
「……要らない」
そう、と何とも無い様に、プレデラはマグカップを下げた。
「ディータに浮気したのかと。あの子可愛いもんね」
ディータと言うのは紫の少年の同居人、欠損少年の事である。本名では無く、この辺りで付けられた通称の様だが。
「……好きで一緒に住んでる訳じゃ無い」
「でも一緒に寝てるんでしょ」
同居人が居るのは彼だけでは無い様だが実際の所は知らない。紫の少年もディータも面倒な人材である事は確実で、それは本人達も良く理解して居る。別の誰かに余計な負担を掛けない様に、面倒な事は面倒な奴同士で……とかそう言う理由からなのだろうと彼等は思って居た。
「がっかりさせる様だけど……期待してる様な事はしてないよ」
プレデラはわざとらしく残念、と呟き、テーブルにあった何かを摘んだ。それを口に運ぶ姿を見た紫の少年の気分と体調は、再び悪い方へと落ちて行った。