【???】
……具合が悪い。
原因は解って居る。悪いものを喰べた所為だ。世の中にはそれを快感とする者も居るらしいが、残念ながら彼はそうでは無かった。お陰で食事と言う行為自体に嫌悪感を抱くまでになってしまった。それなのに、ずっとずっと前から辞めたいのに辞められない。自分の意思とは無関係なそれを見て、吐き気が増す。
「ん……大丈夫……?」
傍で寝て居た少年が目を醒ました。起き抜けの体を起こし、苦悶の呻きが聞こえる方を見る。紫色の髪をした少年が蹲って居た。
「何か薬……」
部屋の隅に乱雑に置かれたバッグの所へ、起き抜けの体を引き摺って行く。未だぼんやりする頭で考え、両脚の無い体を動かすのはなかなかの重労働である。こんな遠くに置かなきゃ良かった、と欠損少年は呟いた。
「気持ち良く吐ける奴が良い」
欠伸をしつつ、欠損少年はバッグを引っくり返した。口に入れるのを躊躇したくなる様なカラフルなカプセルや錠剤、小瓶が床に散らばる。手に取ってはポイポイとバッグに放り込んで行き、最終的に床の上には何も無くなった。
「無い。逆に喰べれば?」
「……じゃあ吐き気止める奴」
それなら、とバッグを漁り始める。先程とは逆に入れたものを中から外へと放り投げ、床の上は再び散らかって行った。