新しい友達?何を馬鹿な。そんな解り易い嘘を吐かなくても解って居ると言うのに。さっさと迎えを呼んで連れて行けば良い。その方が……
「ドール様」
ノックの音が二回、そして扉の向こうで声がした。先程の男だ。名前は……憶えて居ない。
「入っても宜しいでしょうか」
「勝手にしろ」
ベッドに突っ伏したまま、適当な返事をする。直ぐに扉が開いて、男が入って来た。
「さっさと迎え呼べば?連れて行かれる準備は出来てるからさ…」
ドールの冷め切った言葉に、彼は僅かに首を傾げた。
「…何処へ、でしょう」
「さぁ?何処かなんて知らない。この眼が欲しくて来たんだろ」
ドールは眼帯をした右眼を指した。すると、彼は暫し考える素振りを見せ、あぁ、と小さく頷いた。そう言えば、この子供は希少価値の高い宝石か何かを持って居るとか……本人にばかり焦点を置き過ぎて、そんな情報があった事を忘れて居た。実際、その情報は彼には詳しく伝えられて居ない。
「そうでしたね。貴方にはそんな価値もおありとか。安心して下さい、私はそちらに興味はありませんので」
眉一つ動かさず淡々と喋る男に、ドールは興味を示した様だった。ベッドから体を起こし、疑いを含んだ眼差しで彼をじっと見て居る。