「へぇ……興味無いんだ。じゃあ何?新しい商品の買い付けか?」
付加価値があれば高く売れるだろうね、と。敢えて答えに困る様な質問をしてみる。それが本当に答えたくないものであれば、面白くて堪らない。しかし、期待に反して男は大した反応は見せなかった。表情を崩さないまま、鋭い目付きでドールを見る。
「勘違いされて居る様ですね。私は売人ではありません。ただの使用人です」
その言葉にドールは苛立ちを憶えた。
「使用人でオトモダチ?そんなモノいらない。こんな安全な所に隔離されてんだから。あんたの退屈が増えるだけ」
「此処から出られるとしたら」
安全な、と皮肉ったつもりだったが。ドールの左眼が好奇心に輝いた様に見えた。しかしその子供らしさは本当に一瞬で、直ぐに何時もの諦めた蔑む様な笑いを浮かべる。それはこの隔離生活に馴れ切って居る事を語って居た。 嫌な笑いを浮かべたまま、右眼の眼帯を指す。
「珍しいのは他人事だからだろ。実際は厄介者だから閉じ込めっ放しなんだ」
ドールの言葉に、男は僅かに驚いた様な表情を見せた。
「解って居るでは無いですか。彼等から貴方を御護りするのが私の役目。最も、その眼の件は詳しく知りませんし、あくまで子供を護れとの命ですのでそれ以上の事は出来ませんが」
酷く馬鹿にされた様な気がして、ドールは再び苛立ちを感じた。