「猫って喰べられるのか?」
「さぁ?折角捕まえたし取り敢えず持って行こ」
喰べる……?顔どころか服装も足元すら見て居ないが、何なんだ此奴等は……
「(落ち着け……暴れても今は多分無駄、落ち着け!俺!)」
自分に言い聞かせ、ほんの少し落ち着いた俺は、暴れるより今がどう言う状況なのか掴んだ方が良いと言う気になった。どうやら黒い網?袋?に入れられて居るらしい。浮いて居る感覚があるから何処かへ運ばれて居るのだろうか。……と言うか、食材捜しなら目の前の市場か何かへ行くべきでは?街中で捕まえるなんてワイルド過ぎる。と、呑気な事を考えて居る場合では無い。人間は動物を喰べるのだから、猫を喰べる事もあるのはまぁ不思議では無い。が。
「……流石に捌かれるのは御免だ」
外の音は……余り聞こえて来ない。あんなに賑やかだったのに今聞こえるのは二人の会話だけの様だが、今居るのは裏通りなのだろうか。屋根の上まで登る位だから色んな道があるのだろう……登って来る人間はそう多くないと思うのだが。此奴等自由過ぎやしないか。 それと「持って行こう」と言って居たから、今この状態で此奴等に撲殺か何かされる事は取り敢えず無さそうか。食材は新鮮な方が良いもんな……最早自虐か。
「ん……大人しくなった」
「諦めたのかも。生きてる内に戻ろう」
物騒な奴等だ。どんな奴の所に居るのか少し気になる。もしも此処の人間が日常的に猫を喰べるとしたら……逃げ出せるだろうか。自分の死を考えるなんてそう無いし、食材の気持ちを考えるなんてもっと無かったが、もしもそうだとしたら……思ってもみない終り方過ぎて、これこそ彼奴に話してやりたい。