闇色のワンピースには金色の髪が良く似合う。だから、この世界にはそう言う娘が連れて来られる。彼女達が望んで居る訳では無いが……寧ろ、望んで居ない事の方が多い様だが。
闇しか無かった世界の真ん中に一つ、白いテーブルが現れた。紅と白のチェック柄のクロスがふわりと掛けられ、何処からとも無く現れた小さなバスケットとティーカップが甘く優しい香りを振り撒いて居る。その香りに誘われる様に空は青く透き通り、地には鮮やかな緑色が広がって行く。
「WHIT Rubbitの奴は未だ懲りないのかい?一体どれだけ死にかければ気が済むんだろう」
「彼奴なりに考えがあっての事……な訳無いか。遊んで居るつもりなのか、単に学習しないのか」
時計の音がする。何なのだろう。訳の解らない世界と、訳の解らない人達は。
「それでもお迎えしないとね」
「全く、面倒な事この上無い」
何処からとも無く現れた扉がゆっくりと開く。目の前に広がる真っ暗な闇しか見えない世界に、引き込まれる様(……と言うより、引っ張られて居る感じ)に足を踏み入れる。二歩目を踏み出そうとした所で、誰かに背中を押された。
「ようこそ、貴方の世界へ」
【Welcme to…】