【リディカ】
正直な所、癒しである筈のあの子との交わりも苦痛でしか無い。時間さえあれば必要無いのだが此方の要求を飲む筈も無く、やむを得ずあの子の力を借りて(……もとい借りさせられて)居る。数週間、数ヶ月掛かる所を一瞬なのだから堪ったものでは無い。隙があればあの子も葬りたいが、出来るか否かと言われれば恐らく後者。正確には解らない。同じ様な個体がそうも居るとは思えないし、親玉より厄介である事は確実であろう。性格的にも。
削られ抉られ、血液だか肉片だか解らない何かが流れて居たものがあの子の処置に寄り痛みも痕跡さえ残さず、肉体的な傷は跡形も無く消える。しかし精神的な傷は深くなる一方で、此方も修復して貰いたいのだが。あの子は恐らく善意でやって居る訳は無いから寧ろ願ったり叶ったりであろう。どう言う訳か私はあの子に憎まれて居る。それもかなり強く。