【ネビロス】
ママは少し違うらしいが、基本的に悪魔は大抵の傷では死なない。デモーニオが体に大穴空けて帰って来るのを何度も見て居るし、何でもと言う訳では無い様だが痛みもそれ程では無いらしい。それなのに、俺は軽く刺されただけで死んでしまうのだとママが言った。腕を大きく負傷した事があったが、紅いものが沢山出て来て凄く痛いし気持ち悪かった。デモーニオが面白がってママに何か言って居たが、彼が良いと言うのなら良いのだろう。もう一度と言われると、正直な所嫌ではある。
デモーニオは時々外に連れ出してくれる。ママは嫌がるけれど、デモーニオには逆らえない。それに俺が少しだけ楽しみにしてる事を知って居るから、余り強くは引き留めない。外の世界で独りになる事は自殺行為だ。それは俺が反撃する術を何も持って居ないから。相手がどんなに雑魚だったとしても逃げるしか無い。悪魔は苦手なものがそう無い様で、そうなると俺は抵抗すらマトモに出来無い事になる。 喰うか喰われるかでは無く、何時喰われるか。俺を護ってくれる者は、居ないのだ。