ロックダウンに背を向けたスィンドルは、多次元倉庫に何やら押し込んで居る。不意に、両肩にずしりと重みが掛かる。気付けばロックダウンが腕を回し、右腕のデスフックがスィンドルの首元に向いて居た。
「そうケチな事言いなさんな。俺とお前さんの仲じゃねェか……」
わざとらしくニヤつきながら、宥める様な声でロックダウンが言う。スィンドルはフックを押し返しつつ腕からすり抜け、倉庫からチェーンソーのスペアを取り出し手渡した。
「まぁまぁ落ち着いて下さい、脅迫はいけませんよねぇ。言ったでしょう?多少上下はすると。それと、お急ぎの所申し訳無いんですが現物がありませんので、暫く此奴で代用して貰えます?」
渡されたスペアチェーンソーは難なく装着出来た。違和感を感じるのは、使い馴れたものでは無いからだろうか。ハンドパーツとのチェンジが何だかぎこちない。
「脅迫とは酷ェ言い方しやがる……ん、此奴は何処かで見た型だな……旧式か?」
「流石ですねぇ、今は殆ど使われて居ないものなのに。少しばかりアクが強くて扱い辛いんですが、コアなファンも居たり居なかったり……逆に癖になりますよ?」
その使われて居ないものを何故持って居るのかと思いつつ、ロックダウンはハンドパーツとスペアチェーンソーのチェンジを数回繰り返した。やはりぎこちなさが気になるが、悪くない。
「準備が整った所で此方から連絡しますよねぇ。まぁ直ぐ手に入るでしょうから、昼寝でもして待って居て下さい」
言い終るが早いか、スィンドルは仕事の準備があるからとロックダウンを追い出しに掛かる。
「言い忘れましたが……其奴を使用中に死亡した場合、責任は取りませんので」
「馬鹿にしてんのか?」
まさか……とスィンドルは嘘臭い笑みを向けた。