「お気に召さなかったとは意外ですよねぇ。悪く無い、なんて言って居た様でしたけど?」
スィンドルの元へ到着したロックダウンは、早急に交換したいと開口一番に告げた。スィンドルはそれを快諾し、今はその交換作業が行われて居る最中。急ぐから自分でやると言ったのだが、序でに頭も冷やせとか何とか……何時の間にやらスィンドルのペースに乗せられ、今に至る。
「確かに着け心地は悪く無かったが、実際使ってみるとな……お前さんも解るだろう?」
「えぇ勿論、良く解りますとも。動かしてみて貰えます?」
武器に携わる二人に共通の話題である為か、若干の愚痴を交えた会話は途切れる事無く続いて居る。その間にも作業は進み、チェーンソーは完全に新しいものに付け替えられた。
「良いねぇ、やっぱり使い馴れたモンに限る」
ハンドパーツとのチェンジを何度か繰り返しながら、ロックダウンは満足気に言った。
「今度こそ気に入って頂けた様で。では支払いについて話しましょうか。ハイ、請求書」
一転、渋々受け取り内容に目を通す。昨日見た金額と変わって居ない様に見える。要するに、仕事の割に高過ぎる。何時にも増してスィンドルの笑顔が明るく見えるのは、気の所為では無いだろう。何を言っても無駄だろうが、納得の行かないものは仕方が無い。
「……お前さんの仕事にケチ付ける気は無ェが……此奴は仕事の割に高過ぎやしねェか?」
「あらら、お忘れですか?昨日の慰謝料込みですよねぇ。貴方は忘れても私は忘れませんから」
「……だよなァ」
予想通りの答えが返って来る。高いだ何だと並べた所で、この金額は断固下がらないだろう。余り喰い付くと、逆に慰謝料が加算される恐れもある。