「いやー……予想外の面白い展開でした。ロックダウンさん、賞金稼ぎの癖に良い人ですよねぇ」
独り言を呟きつつ、辺りを片付け始める。……と言っても、倉庫に突っ込むだけなのだが。ロックダウンから返って来たスペアチェーンソーが眼に入り、ふと手を止める。使わないだろうと思いつつ処分せずに居たが、役に立つ事があろうとは。
「……む?これは……」
倉庫に入れようと手に取ったが、ずらりと並んだ刃が数本折れて居るのに気付いた。ロックダウンが使った時に破損したのだろう。自らの手も破壊する彼の事だ、借り物だったとて不思議では無い。
「これはもう使い物になりませんねぇ。仕方無い、少しばかり残念ですが処分しましょう。良い働きでしたよ、最初で最後のね」
言葉の上では労いの様に聞こえるが、その手付きは言葉に伴って居ない。チェーンソーは無造作に投げ捨てられ、改造やら修理やらで出た鉄屑の山の中へ放り込まれた。自分で使おうがそうで無かろうが、スィンドルに武器への愛着と言うものは無い。
「さて……新しい商品の仕入れにでも行くとしましょう。直ぐと言っても、まさか今日中になんて事は無いでしょうからね」
Time is money、時は金なり。
……後日、スィンドルの元へロックダウンから飛んでも無い額が振り込まれた。それはスィンドルが提示した額とぴったり同じだったが、やはりどう良く見積もっても高額過ぎで。慰謝料とやらがどれ程のものなのかと疑う程であった。
「本当、賞金稼ぎの癖に。良い人ですよねぇ……」
【HUNTERS/END】