────────。
「あのー……聞いてる?」
コツン、と小さな衝撃が腕の辺りに響いた。はっとして我に返ると、ヒートブラストが不機嫌そうに答えを待って居る。
「あぁ……すまない、少し考え事をして居た様だ」
ん……何処かで聞いた台詞か?
ダイヤモンドヘッドはヒートブラストの投げ出された脚を見て、蹴られたのだなと漸く理解した。
「うっわ、コレだよ……今喋ってんのは俺、お前は聞いて答える。解った?」
「あぁ、解ったよ」
何かの切っ掛けでオムニトリックスが《チキュウ》へと落下し、宿主が変わってからはこうした平凡な日々が続いて居る。戦う事が無くなった訳では無いし、自分の意思では動けないが、あの頃よりはずっと良い。
「……って訳で。俺はフォーアームズに勝ちてぇ!!どうしたら良い?!どうすれば彼奴より呼び出して貰える?!」
子供らしい無邪気さと自身が掲げるヒロイズム。子供故の気紛れかと思いきやその意思は強く、曲がる事が無い。
ダイヤモンドヘッドは現宿主を酷く気に入って居る様だった。
「宿主の気次第としか言えないな。強引に奪うか?いや、そもそも勝ち負けの問題なのか……」
「悔しいが其奴は無理。力だけじゃ圧倒的に不利だし。だろ?」
その意思の強さを、目指して居た《彼》と重ね合わせて居るのかも知れない。
「確かにな。追い討ちを掛ける様だがフォーアームズ自体、大分気に入られて居る様だからな……」
「それが既に悔しい訳ですが?!」