────────。
「XLR8」
不意に肩に置かれた手の感覚に驚き、反射的に立ち上がって相手と少し距離を取る。その相手、フォーアームズは何か悪い事でもしたのかと暫し立ち尽くして居たが、ニヤリと笑って口を開いた。
「何を湿気た面してんだよ。ガラにも無く考え事か?」
何がそんなに可笑しいのか、クスクスと笑いながらからかい始める。何時もの事なのだが、それが無性に腹立たしく感じて彼を睨み付けた。
「五月蝿ぇな!脳味噌まで筋肉のお前とは違うんだよっ」
「ほー?お前に脳味噌があったのか。風の抵抗を無くす為に、脳味噌も軽くしたのかと思っ……」
「この野郎っ!!」
XLR8が飛び掛かり、取っ組み合いが始まる。最初は何時ものからかい半分で居たフォーアームズだったが、何度か蹴りを受ける内にXLR8は本気なのではと思い始めた。
「ちょっ……何……お前本気でやるな……って聞いてんの?!」
「聞いてねぇ!!」
どすっ、と一際強い蹴りを放ってフォーアームズを床に倒すと、XLR8はサッと何処かへ走り去った。
「……フォーアームズ?」
ぽかんとしたままXLR8の消えた方向を見て居ると、背後から声を掛けられた。振り向くと、リップジョーズが立って居た。
「えーと……さっきの、XLR8だと思うんだが……喧嘩でもしたのか?」
フォーアームズはさぁな、と軽く肩を竦めて立ち上がる。
「今日はえらく不機嫌らしい。近寄らない方が良いかもな」
「不機嫌……」