「ターゲット確認。速やかに捕獲に移ります」
狙撃ポッドで出撃したクルーから無線が入る。銀色に輝くターゲットは逃げ回りながら狙撃隊を攻撃して居たが、忽ち此方の複数のポッドに取り囲まれ、身動きが出来無くなった。船内でも数人のクルーが船体の修繕に当たり、緊迫した空気は切れないまでも通常の落ち着きを取り戻しつつある。ヴィルガクス直属の配下達が乗って居る事もあり、流石と言う所だ。
「ターゲット捕獲完了。直ちに此方へ向かわせます」
再び狙撃クルーから無線が入る。それから数分もしない内に、拘束されたエイリアンが連れて来られた。暴れる様子も無く大人しく連行される青年は、つい先日ヴィルガクスが破壊した惑星の住人と思われた。
「ロットオージェスか……未だ生き残りが居たとはな」
後ろ手に拘束された状態で、強制的に跪かせる。蒼く透き通る三つの眼がヴィルガクスを映し出す。
「……何故だ」
彼はヴィルガクスを視界に捕えたまま、唸る様な声で言った。
「何故……奪った……っ」
身動きは取れずとも、威嚇は出来る。透き通る蒼い眼がみるみる内に紅色に変化し、白い肌に不釣り合いな鮮やかさを晒した。
「屑星を消した理由等とうに忘れたわ。自分達は特別だとでも思って居るのか?」
今にも暴れ出しそうな青年を、二人のクルーが抑えようと銃を向ける。しかしこのクルー達は自分を撃たない事は解って居た青年は、先程とは打って変わり鋭い眼光をヴィルガクスに向けた。
「仲間達は……お前に刃向かう事はしなかった筈だ!!」