「凄ぇーっ!何だか良く解んないけど滅茶ハイテク!!」
それはもう唐突に。静かだった部屋に響き渡る騒音の数々。何度もそれに遭遇する事はあったが、馴れる事は決して無かった。本日の招かれざる客は、白い体に金色の鎧を纏うキャノンボルトと、黒と青の宇宙蜥蜴XLR8。騒ぎの元は十中八九、後者である。このハイテク部屋の主、ベンビクターが出入りする隙を狙い、持ち前のスピードで知らぬ内に侵入して来るのだ。
「俺にも何か造ってくれよ!」
悪びれる様子は一つも無く、何度と無く聞いた台詞を飽きもせず楽し気に吐く。ビクターは部屋中を駆け回るXLR8を背後から捕まえた。彼が彼方から此方へと移動する度周りのものがカタカタと揺れ、危なっかしくて仕方が無い。
「何時入って来たんだ……」
首元を掴まれたXLR8は逃れようと手足をばたつかせる。だが、力関係では考える間も無くビクターが上。振り切ろうと暴れてみても、宙に浮いて居ては効果は無い。
「俺様のスピードを甘く見て貰っちゃ困る!」
「格好付かんな」
ビクターはそのまま歩きながら部屋を物色して歩くキャノンボルトも捕まえる。背中に突き出た鎧を掴み、引き摺って行く。
「その図体で彷徨くな。何を壊されるか解ったもんじゃ無い」
「図体のデカさなら、お前も良い勝負だろ」
扉が自動的に開き、二匹は軽々と外に放り出された。折り重なる様に床に落ちた二匹は、不満たっぷりの表情でビクターを見上げる。
「何度言えば理解と言う言葉がその脳に刻まれる……言語を話す程の知能があるなら学習しろ。今後二度と、俺の部屋には入るな!」
ピシャリ、と扉が閉まり、静けさが辺りを包んだ。