狩人
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作業現場跡を後にした2人は更に地下を目指した。
そこにある訓練施設で、武器や弾薬を探すのが狙いだ。
「ねえ、急に造りが変わってない?」
「ああ。何だか元々の洞窟に階段や部屋を取り付けたみたいだな」
それまでは壁には煉瓦やコンクリートなどの舗装がされていたが、途端にそれがなくなっていた。
手抜きなどではなさそうだが、奥にはまた一癖ありそうな雰囲気だ。
2人の軍人はそれを勘で感じると、最奥部の訓練施設に突入した。
施設内の階段を上がると、予想通りの光景が広がった。
棚の上には銃と弾薬の山があり、どちらとも種類は豊富だ。
嬉しそうに武器を手にするジャンヌだったが、次第に表情は曇る。
ほとんどの部品が修理か何かでパーツが外されていたり、損傷が激しく処分せざるを得ない銃ばかりが並び、武器として携帯するには無理があった。
「武器の調達は絶望的……か。弾薬があるのが、せめてもの救いだな」
「そうね……。でもこの辺りの銃なら工具があれば直せるかも」
さらりと言ってのけるジャンヌは弾倉に何もないのを確認すると、まるでルービックキューブをしているかのように拳銃を手の中で回した。
「出来るのか?」
「多分ね。昔から武器の修理は近くで見てたから」
見た目とは不似合いな特技があるものだとビリーは感心する。
ジャンヌの特技も、軍人であった彼女の父の影響もあるのだろう。
しばらくの間、銃を踊らせるジャンヌだったが、溜息を出すとお手上げというように銃を置いた。
「残念。他の銃のパーツを使えばいけると思ったけど、保存状態が悪かったみたい」
ぼやく彼女の周りには様々な種類の銃が転がる。
ワルサー、ベレッタ、グリース・ガン、コルトパイソン、モーゼル……。
一流の警官や軍隊が所持していてもおかしくない代物だが、ここのは長年の施設の閉鎖に伴い使用は不可能だった。
「棚の上の武器はほとんどダメだわ。他にあればいいんだけど」
「そうだな。少し調べるか」
手分けして数々の引き出しや扉を捜索する2人。
ハンドガンやショットガンの弾や、利用出来そうにない銃のパーツなどはごろごろしていたが、やはり武器になる物はなかなかない。
(やっぱり武器は無理かしら……)
ビリーも特にこれといった反応をしていない。
彼も発見はないようだ。
困った顔でジャンヌがまだ手つかずのロッカーを開くと、中にはジュラルミンケースが無造作に置かれていた。
しかもナンバーロックがかけられていたが、ケースの端に番号が書かれている。
(ロックの意味がないじゃない……)
呆れ返って溜息を吐くが、中を見たジャンヌは表情を一変させる。
「ビリー」
手招きしてケースの中身を見せると、彼もジャンヌと同じ表情になった。
「ハンドガンのパーツか」
「しかも2丁分あるわ。折角だから貰いましょう」
他にも何かないかロッカーを漁ると、今度は鍵が出てきた。
何かの番号も書いてある。
「何の鍵かしら……?この番号だと……あっ」
見上げた棚に鍵と同じ番号の箇所があった。
しかしジャンヌが取るには高すぎる位置だ。
考えるまでもなくビリーの協力が必要だが、ビリーも棚を見上げると腰に手を当てて困ったように頭を掻いた。
ビリーでも届かないし、脚立などの台もない。
……となると、方法は1つ。
訓練施設に小さな悲鳴がした後にロッカーを開く音がした。