カカリコ村での時間
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「ナビィ」
「なぁに?リンク」
「何かさ、ルナ……最近変じゃない?」
「そう?ナビィは普通だと思うケド」
「だってさっきもカカリコ村に着いたら、慌ててオレから離れたじゃん。キングドドンゴを倒した後とかも、熱がある見たいだったし……」
「…………」
(ニブい……。子供だから仕方ないけど、ニブいよリンク……!!)
ルナが少しずつリンクを意識しているというのに、本人は全くの無自覚。
けれどリンクは初めて森から出て、毎日が刺激的で発見が絶えないぐらいに楽しんでいるのだから、無理もないが……。
(まあ……だんだん気づいてくれればいいかな……)
「もしかしたら慣れない登山とかで疲れたのかもネ。しばらくはカカリコ村で休みましょ」
「ああ。最後の精霊石の情報も集めないとな」
さて、今リンクとナビィはカカリコ村で情報収集して回っているところだ。
とは言え、直接精霊石の事なんて聞いても無駄足なのは分かっていたので、この近辺に済む種族について尋ねていた。
けれどこの村の人達は口を揃えて
「近くにはデスマウンテンのゴロンしか知らねぇぞ」
「私のお祖母さんの時代には、この村にもシーカー族はいたそうだけどねぇ……。今じゃあ、インパ様しかいらっしゃらないからのう……」
とばかり。
パッとした意見がちっとも出ないが、ほんの少しの情報でも欲しいリンクとナビィは諦めなかった。
「たくさんの人に話を聞いてみましょ!」
「そうだな。……あっ、あの大工さんは?」
大工なら様々な場所に赴く職業故、一般人より情報を持っていると思ったリンクが休憩中らしい大工達に声をかける。
「こんにちは!」
「あらぁん!カワイイボーヤねぇ!」
「え゙」
容姿とは正反対の口調にリンクが音を立てて石になった。
「どうしたの~?迷子なの~?」
「いや~ん!可哀相~!アタシ達がママを探すの、手伝ってあげようか?」
「こんなカワイイボーヤを置いていくなんて、ヒドイわね~」
「そうよね~。アタシがママなら、そんな事しないわ~」
リンクの体中から脂汗がドッと溢れ出る。
更にはキングドドンゴ戦でも感じた、体が発する警告音が頭に響く。
意味は違うが、ここにいては危険だと知らせる。
「あっ……!だ、だっ……大丈夫です!!何でもないから気にしないで下さい!!それじゃあ失礼します!!」
早口で捲し立て、少年は妖しい大工の前から忽然と消えた。
しかし大工達は驚いたり気を悪くするでもなく、声を揃えて黄色い声でこう言う。
「照れちゃってカワイイ~」
「あの子、将来有望よね~!」
「今から仲良くしておこうかしら~!」
背後から湧く声に鳥肌が立つ。
そしてリンクは『森の外はなんと恐ろしい』と顔を青くするばかりなのであった。
宿屋の厨房から鼻歌が聞こえて来る。
ご機嫌な様子で具材をパンに挟んでいくのはルナ。
彼女が作るサンドイッチはハムチーズ、タマゴ、フルーツなどバリエーションが豊か。
ご機嫌のあまりに量が増えてしまったが、ルナは特に気にせずバケットに詰め込む。
でもその手が止まった。
「しまった、おにぎりも作ってたんだった……」
いくらリンクでもこんなに食べられないだろう。
「ん~、村の人におすそ分けするかぁ……」
城下町に比べれば住人は多くないが、働く人は割合的に多いので名案だった。
「リンクもお腹空いてるといけないから、探しに行ってあげよっと」
厨房を貸してくれた宿屋の人にお礼を言い、ルナはリンクを探しに出かけた。
「ナビィも一緒だから、すぐ分かると思うんだけど……。情報収集してるから、聞いてみようかな。こんにちはー」
すぐ傍を通る大人……あの大工に声をかけた。
「あらっ!ルナちゃんじゃなぁ~い!」
リンクが逃げ出す程の迫力の大工だったが、彼女は至って普通に会話をする。
「休憩ですか?」
「そうなの!今日はどうしたの~?」
「緑色の服を着た男の子を探してるんだけど……知りませんか?」
「緑の…………ああっ!あの金髪のカワイイ子ね!」
(カワイイ……?)
大人からしたらという意味で解釈して話を続ける。
「あ……その帽子も服も緑の男の子」
「いや~ん!運命かしら~!さっき会ったばかりなのよ~!」
「本当っ?どこに行ったの?」
「風車小屋の方に走って行ったわよ~。若いっていいわ~!」
「ありがとう!良かったら親方さん達と食べて下さい!」
おにぎりのバケットをお礼に渡して走り出すルナを見、大工は頬に手を当て溜息1つ。
「あんなにカワイイガールフレンドがいたんじゃあ……アタシの負けねェ……」
「へっ……ふぇっ……ふあっくしょーんっ!!」
村のベンチに座るリンクの豪快なくしゃみに村人の視線が集まった。
それを気まずく思い、頭を掻いて苦笑い。
「風邪?」
「分からないけど……何か悪寒が……」
まさかあんな噂をされているとは夢更思ってはいなかったが、彼の第六感だけが察していたようだ。