衝突
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「これからどうする?」
「……今進めそうなのは厨房ね。まずは電源を回復させましょう」
食堂車内にあった列車の地図を見ながらジャンヌとビリーは相談し合い、まずは電源を回復する為に屋根に上がる事になった。
地図にはこの車両の屋根に電源装置があると書いてあったので、ビリーが梯子のある固い窓を強引に開く。
「行くぞ」
まずはビリーが先発して梯子を上り、ジャンヌがそれを追う形になった。
屋根の上は滝のような雨が降り注ぎ、ただでさえ滑りやすい足元なのに列車のスピードも加わって前に歩くのも危険で困難だった。
「ビリー、私が先に行くわ」
急なジャンヌの発言に心配になって『大丈夫か?』と尋ねれば
「あなたが盾になって、折角のシャワーが浴びられないの」
と、気楽な返事が返ってくる。
余程ヒルの粘液が気持ち悪かったらしい。
「あんまり浴びすぎるなよ」
ビリーも緊張感のない言葉で了承すると彼女の後ろに回った。
「……あれね」
目と鼻の先には火花を散らす装置と小さな穴があった。
「2人で近づいたら崩れるかも……。私の方が軽いから、ビリーはそこにいて」
待機命令を出し慎重に装置へと近づくジャンヌ。
容易に切れていたケーブルを繋ぎ合わせ、また配線が切れぬように紐で縛りつける。
『ジュル……』
ジャンヌがホッとしたのも束の間、装置から謎の液体がじわりと染み出る。
「…………?」
目を凝らした瞬間どこに潜んでいたのか、装置からヒルが溢れ出してジャンヌを後ろの穴に突き落とした。
「きゃあああっ!!」
「ジャンヌ!!」
彼女を突き落としたヒル達は再び装置の中へ消えるが、ビリーはそれに構う事なく穴からジャンヌを見下ろした。
「大丈夫か!?」
「ええ……平気。怪我はないわ」
「そうか。でも引き上げるのは無理だな……」
「そうね、この高さじゃあ……」
踏み台代わりになる物があればいいのだが、落下した先は配膳室。
そういった類いの物は残念ながらなかった。
「そのドアから出られるか?」
ジャンヌがドアノブに手をかける。
「ダメだわ、何かが詰まっててノブが……。尖った物があれば取れそうなんだけど……」
「アイスピックぐらいあるんじゃないか?」
成る程、とジャンヌが引き出しを開くと1枚の紙切れが出て来た。
『備品貸出用紙』と書いてあり、現在アイスピックは2階の客車に持ち出されているらしい。
「仕方ない、俺が調達して来るから待ってろ」
そう言ってビリーは来た道を戻り、2階の客車を目指した。