森の使者と白い天使
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ハイラル城はまだ穏やかな静寂に包まれていた。
そろそろ朝の時間に迫る中、2つの影と1つの光が行動を開始する。
「そろそろ空が明るくなってきたヨ」
「ルナ、急ごう」
蔦を登るスピードを緩めずに2人は慣れたようにどんどん進んだ。
「!」
その足が突然止まる。
「見張りの兵士さんだ……」
崖の上から様子を探ると、どうやら交代の時間のようだ。
代わりに門に立つ兵士は睡眠が足りてないのか、大きな欠伸を絶えず繰り返す。
「これってチャンスだな」
「だね」
崖から降りて兵士の後ろをかい潜ろうとするが、意外とタイミングが難しい。
危うく見つかりそうになると、ルナがリンクの肩を突いた。
「リンク、そこ」
彼女が指差したのはお堀だった。
「お兄さんがお堀に入って、兵士さん達に気づかれないようにしたって言ってたよね」
「そっか。なら俺達も……」
大きな音を立てないよう、慎重に水の中に身を沈めて城に一気に近づく2人。
間近で見ると、やはり大きいと思い知らされる。
「2人共、あっちから上がれるわ」
「リンク、向こう」
浅瀬になっている所は運良く兵士の死角。
絶好の場所に2人は悪戯に笑う。
「それっ」
飽くまで行動は静かに俊敏に。
服が濡れたままでも子供の2人には関係なく、奥へ奥へと進んで行った。
そうして着いたのは、城の真横の位置に当たる場所。
ナビィがヒラリと飛んで壁を調べると、男が話していた小さな通路を見つけた。
「2人共、ここから中に入れそうヨ」
大人では突っかかる大きさでも、幼いリンクとルナにはなんら問題はなく、スイスイと進んで行く。
そして―――……。
「お城の中だ……」
初めての厳かで清廉された空気に2人はゴクリと味を感じない唾を飲み込んだ。
「中庭みたいね。見張りはいるはずだから、気をつけて行きましょ」
ナビィが言うなり、奥から兵士達の声がわいわいと聞こえて来る。
「交代だぞ」
「やっとか~。もう眠くて欠伸が止まら……な……ふあぁ~」
「オイオイ、そんな姿が姫様……ましてやインパ様の目に入ってみろ。みっちり稽古をつけられるぞ」
「インパ様の稽古は厳しいぞ~。この前もつまみ食いが見つかった奴がインパ様に稽古つけられて、丸3日筋肉痛で動けなくなったって聞いたぞ」
「ひえ~!」
悲鳴を漏らしたのは兵士だけではない。
―――リンクとルナもだ。
(そ、そんな恐い人に見つかっちゃったらどうしよう……!やっぱり剣は隠しておいた方がいいかな……!?)
(道に迷ったって言えば許してくれるかな……?……って、どう迷ったらお城の中に入るんだって話だし、第一警備が厳重だから、迷子ならとっくに見つかってるだろうし、そんな言い訳は出来ないよ~!)
顔だけで四苦八苦しているのを読み取るナビィは『やれやれ』と溜息を1つして、ふわりと飛んだ空中から様子を探った。
(兵士の数は全部で……ふむふむ。成る程ね……)
人数と表情の緩さから判断し、ナビィはルナに助言をする。
「ルナ、ゴーマを倒した時みたいに、炎を空に向かって撃てる?」
「え?う、うん」
「なら、この作戦で行きましょう!耳貸して!」
目を真ん丸にする2人の間……肩に乗ってナビィは作戦を話した。