旅立ち、時々寄り道
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何とかルナの家に辿り着けた2人は、言うまでもなくベッドで仲良く熟睡。
やる事のないナビィは単身、賑やかな城下町を見て回る事にした。
「私もリンクの事を言えないな~。こんなに活気がある場所なんて初めて…………あっ。あの子は……」
ナビィが発見した見覚えのある後ろ姿は、昨日リンクとぶつかったフードの少年。
「確かルナの事が気になってたような……。……そうだ!」
何か思いついたのか、ナビィは少年の前に舞い降りた。
「こんにちは!」
突然現れた光に驚く少年の紅い瞳が真ん丸になる。
「き、君は……確かナビィ……だったっけ?」
「覚えててくれたんだ!嬉しい~!」
「……それで、何か用?」
決して冷たい訳ではないが、ナビィより涼しい少年の態度。
「たまたま君を見かけたから、話がしてみたいな~って思ったの」
「僕と……?妖精でもそんな風に思うんだね」
目を細め、穏やかに笑う少年はそっと手を差し延べてナビィを乗せる。
「僕で良かったら」
「ありがとネ!」
場所を変えた少年とナビィは噴水広場に訪れた。
ここも他に負けないぐらいの活気と賑わいがある。
「ルナ達はどうしたんだい?」
「ルナとリンクは、朝早くから動き回ったから、疲れて寝てるヨ」
「そっか」
人混みの中での会話に、ナビィが意味深に言ってみせた。
「やっぱりルナが気になるのネ」
「!」
途端に少年はナビィを見上げて
「き、気になるよっ!」
と声を張る。
そんな彼は深呼吸して気持ちを静めた後に花壇に腰かけ、落ち着いて呟いた。
「……僕には両親がいないんだ。同じ境遇なのに、ルナは頑張ってるから、応援がしたくて……」
彼女の髪と同じ色の花が風に揺れる。
「そうだったの……。ルナは優しいから、きっと応援に気付いてるヨ!」
「ありがとう、ナビィ。……ところで、結局お城には入れたのかい?」
「ええ。色々あったけど」
簡単な経緯を話し、これからデスマウンテンに向かう事を告げた後にナビィはある提案をした。
「良かったら私達と一緒に来る?きっとリンク達も喜ぶと思うんだけど」
この考えに少年の答えは……。
「折角だけど……」
完全に言い切らない断りの出だしに、ナビィはくるりと回った後に
「ううん。急な話だし……ありがとネ」
と、感謝の言葉を添えた。
「僕も行きたいけど……僕にはやらなきゃいけない事があるんだ」
少年はハイラル城を見つめた後、ナビィに向かってそっと告げる。
「僕は来たる日の為、勇者達の導き手にならなきゃいけないんだ」
「……ミチビキテ?」
城下街の雑踏の中、その言葉が空に響いた。
「―――……って話をしたんだ」
リンクとルナが目を覚ましたのは昼前ギリギリで、今日最初の食事であるパンを頬張ってナビィの話を聞く。
ごっくんと喉を鳴らしてリンクはパンを牛乳で流し込むなり
「一緒に来てくれれば良かったのになー」
と、頬を膨らませた。
「あの子にも事情があるんだから、仕方ないわヨ。それよりリンク、ちゃんとニンジンも食べなきゃダメよ」
「…………」
「返事は?」
「……はぁい」
フォークに刺したオレンジ色を渋い顔で口にして噛むが、どうも相成れない様子。
ルナはそんなリンクを見て笑うと、口直しに彼の故郷で取れた木の実を切ってやった。
「はい」
「やった!ありがとう!」
差し出すなり木の実を頬張るリンクの表情は、見る見るうちに幸せ色を浮かべる。
「ふふっ。じゃあリンク、ちょっと買い物してくるから、留守番よろしくね」
「うん!」
「ナビィはルナと一緒に行くヨ!」