第8話~女狩人レディ~
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歌劇場を出た矢先、鍾乳洞の細い道にまたヘル=プライド達が現れる。
「迂闊に特攻して落ちたら洒落にならないな」
「うっ……。私、高い所苦手……」
新たに知るマヤのコンプレックスにダンテは顎に手を当てて考えると、ネヴァンを構えた。
「マヤ、俺に掴まれ」
「え?う……うん」
「面倒だからショートカットするぜ」
そう言ってダンテはマヤを抱き上げたまま飛び上がると魔人化し、空中で翼を広げた。
「すごーい!!ダンテ、空が飛べるんだ!?」
「ネヴァンの力でな。さ、落ちないようにしっかり掴まってろよ」
エアレイドであっさり悪魔を群れをやり過ごし、鍾乳洞を抜けるダンテとマヤ。
(ダンテはすごいなぁ……。強いしカッコイイし、魔人化も出来て空も飛べるし……)
改めて姿の違うダンテを見つめるが、あのテメンニグル屋上で感じた恐怖感は全くない。
それどころか、余裕を持ってダンテの事を見られていた。
(リベリオンを持ってた時と違うって事は……武器で姿が変わるんだ……。アグニとルドラなら、どんな風になるのかな……)
悶々としていれば、彼と目が合う。
「どうした?」
「う……ううん。持ってる武器で姿が変わるんだなって思ったら、アグニとルドラならどんな姿になるのかなって、ちょっと気になって……」
「見たいか?」
「え……う、うん」
「よし、リクエストに答えてやるぜ」
ふわりと着地するダンテがマヤとネヴァンを離し、代わりに受け取った双剣を構えた。
するとダンテが放つオーラが紫色からオレンジ色に変わる。
そんなダンテを見てマヤは
「わあ〜!ネヴァンの時と違って、髪がギザギザになるんだね〜!」
と、のんびり呟いた。
「いや……一応、服も変わってるんだけどな」
「え?そうだったの?気づかなかった」
「後でじっくり見な。さて、さっきの奴らが追いついて来ちまったから急ぐぜ」
最早お決まりになったマヤを抱えてのダッシュも、ダンテにとってはお手の物になってきていた。
悪魔達もダンテのスピードに追いつけず、ただ通り過ぎるのを見遣るだけで、鍾乳洞から抜ける2人を呆然と眺めるしか出来なかった。
「よし、抜けたぜ」
「ありがとうダンテ。…………」
「ん?」
降ろしたマヤは眉を八の字に下げて、何か言いたげにこっちを見ている。
「……ダンテ、さっきはごめんなさい」
「さっき?何の事だ?」
「私……ダンテに意地悪しちゃったでしょ?……本当はヤキモチ焼いてたの。ネヴァンにダンテを取られちゃうと思ったら、何か嫌な気分になって……」
「マヤ……」
ヤキモチ。
彼女が言うと、何とも可愛い響きに聞こえるのだろうか。
「……バーカ。俺が他の女……ましてや悪魔相手に口説く訳ないだろ」
「本当?」
「ああ、本当」
「…………!」
言ってやれば、彼女の表情がパアッと明るくなり、ダンテはつい口元を緩めた。
「そんなに嬉しいのか?」
「嬉しいよ!だって……だって、ダンテは……」
(お……?)
つい、続きを期待するダンテ。
そしてマヤがその続きを言った。
「ダンテは……私の居場所だもん……。ダンテがいなくなっちゃったら、私はどこにもいられないよ……」
「俺がマヤの居場所……?」
好きや愛してるとは違う、大切に思われているという表現に胸がこそばゆくなる。
自惚れでないのを確認すると、彼女の頭をぽんぽんと叩いた。
「俺はどこにも行かないし、マヤを放したりしないって。安心して“居場所”にいろよ」
「ダンテ……。ありがとう」
2人の姿はまるで兄と妹のようで、とても微笑ましい。
ダンテも「これもアリかな」と微苦笑を浮かべていた。