過去
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ビリー・コーエン。
元海兵隊少尉。
23人を一度に殺害したとして、第一級殺人罪にて起訴。
軍法会議において、彼には死刑判決が下された。
しかしその罪については、詳しく明らかにされていなかった―――……。
「1年前……俺が所属していた部隊は内戦の火消し役として、アフリカ奥地に潜入していた」
容赦なく照りつける灼熱の日差しと燃えるようなアフリカの気候が、密林の中を進む彼らを苦しめる。
火消し役として投入された軍の任務は、密林にあるゲリラ軍のアジトの位置の特定と殲滅だった。
……しかし、その任務に対して行軍はあまりにも長すぎた。
故にゲリラからも狙われ、視界の悪い密林内で襲撃に遭い銃弾に倒れる者、熱病で命を失う者までいた。
周りの者が倒れていっても助ける事は出来なかった。
自分達も過酷な飢渇に苦しみ、足を動かすだけで必死だったのだ。
そして行き倒れる仲間も踏み越えて進む内に、漸くジャングルを抜けて人のいそうな場所へ辿り着くが、その頃には長い行軍はたったの4人しかいなくなっていた―――……。
部屋の中にあった木箱に寄りかかりながら語るビリーの顔が険しくなる。
「だがそこはただの集落だった」
「どういう事……!?」
「偽情報に踊らされたのさ」
偽情報の出どころは分からない。
だがその集落がゲリラのものでない事ぐらい、当時の熱でうなされるビリーにも分かった。
だがそれまでの犠牲はあまりにも多すぎた……。
「手ぶらで帰還するか、それとも―――……」
何かしらの功績を上げるか。
ジャンヌも軍人だ。
後者を選ぶのが得策だと彼女も思うが、続けてビリーから語られたのはあまりにも凄惨すぎる真実だった。
「隊長の命令は“集落の殲滅”だった」
「―――え……?」
耳を疑い、思わず声を零した。
「それって、まさか……」
ゲリラ軍とは無関係の原住民を掃滅するという事―――……。