第9話~復讐の悪魔ベオウルフ~
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―――悪魔のくせに!!
どうしてもマヤの頭から離れないレディの言葉を、ダンテ自身はどう受け取ったのだろうか。
悪魔と人間の血を継ぐダンテとバージル。
言ってしまえば、彼らはどちら付かずの存在なのだ。
マヤはそんな目で彼らを見る事はなかったが、レディの言葉が頭に強く残る。
そして搬送貨車を乗り場で待つ彼に、ついに尋ねた。
「……ダンテ」
「ん?」
「もしだよ?もしも人間か悪魔かになれるとしたら、ダンテはどっちを選ぶ?」
悪魔の血を継ぎながらも人としての道を選んだダンテだから、前者を選ぶと思っていた。
けれども返って来たのは思いがけない答え。
「どっちも選ばないな」
「え……?」
「だって俺は俺だ。父さんの悪魔の血と母さんの人間の血を貰って俺がいる。どちらかを選ぶなんて、俺には出来ない。片方だけになった俺は、俺じゃないからな」
ダンテは曖昧な力を受け入れていた。
それを聞いたマヤはホッとしたように、穏やかにダンテを見つめる。
「……うん。それならいいんだ。変な事聞いてごめんね」
「マヤは悪魔になりたいか?」
「えっ……」
また予想外の言葉……もとい質問。
「私が悪魔に?……う~ん、別になりたくないな~。悪魔にならないと出来ない事があるかもしれないけど、その力のせいで失うものも少なくないと思うから……」
人間のままでいいと答えると、ダンテは声を上げて笑う。
「マヤらしくて良かったぜ。……おっ、丁度貨車が来たみたいだな」
線路を伝い、ドアも壁も屋根すらもない貨車が到着した。
「行き先は……生贄拷問室だってさ」
「えぇ~……。何か嫌だなぁ……」
「なら残るか?」
「それはもっと嫌っ!!ダンテの傍の方が安全だもん!!」
強く主張すると彼について搬送貨車に乗り入れるマヤ。
そして助走もなく速いスピードで貨車は出発した。
「ヒュー、案外速いな」
「そうだね。……ねえ、ダンテ」
「何だ?」
「私は……ダンテは悪魔じゃないって分かってるから……だから安心してね」
コートを掴む手が強くなると、ダンテは笑って頭を撫でてきた。
「そんなの分かってるって。マヤは優しいからな」
そう言って彼女を抱きしめようとした時、警報音に似たものが鳴り響く。
鬱陶しく思う顔で睨むと、上段の貨車からヘル=プライドとヘル=ラストが飛びかかった。
「下がってろマヤ!!」
ダンテがネヴァンを握ると、青い電撃と蝙蝠の嵐が悪魔の群れを一気に飲み込む技ジャムセッションが決まると、今度はリベリオンに持ち直す。
「どうやら次の場所に停まるまで“おもてなし”してやらなきゃいけないみたいだな!」
「こんな狭い場所なんだから、勘弁してよ〜!!」
マヤも愚痴りながらも“おもてなし”の姿勢になると、目の前に着地して来たヘル=プライドにクロウラーを当てた。
「前にもこんな事あったよな」
「アグニとルドラの門に行く前のリフトでね!でも条件は今の方が悪い気がするよ!」
「確かにな!」
袈裟斬りを放ってダンテは笑う。
マヤも剣技とショットガンを交互に放って悪魔達を狩って行った。
―――その頃、テメンニグルを取り巻く怨念の大元であろう悪魔が眠りから醒めた。
「来る……!忌ま忌ましいこの匂い……奴が!!」
生贄拷問室から怒りの咆哮が放たれる。