第3話〜道化師ジェスター〜
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見た目、百足に似た長大な悪魔を目の当たりにし、マヤは広い部屋に響き渡る程の悲鳴を上げてダンテに飛びついた。
「な、なっ……な、何なのあの気持ち悪いのはぁっ!?」
「あれは確か……ギガピードっていったかな。本では見た事あるが、実物は本当にデカいんだな~」
「感心してる場合じゃ……!!きゃーっ!!」
迫るギガピードに恐怖したマヤがよりきつくダンテに抱き着いた。
「やだーっ!!気持ち悪いーっ!!ダンテ~ッ!!」
遠慮なく泣き喚くマヤとは対称的に、ダンテは口元を嬉しそうに綻ばせる。
頼りにされているという事と、マヤが自分に抱き着いている事が、つい彼の口元を緩めた。
無視して先に進む手もあるが、既に入って来た扉が結界で戻れないから、反対側の扉も同様だろう。
(コイツを倒すしかないか……)
取り敢えず、まずは挨拶代わりに銃弾を撃ち込んだ。
それなりに効果はあるようだが、やはり巨大なギガピード相手には焼け石に水だろう。
「マヤ、ちょっとスリリングな事になるが、俺を信じて付いてこいよ」
「え?スリリングってどういう意味で……んきゃあああぁあぁぁーっ!?」
付いてこい、とは所詮ダンテの建前に過ぎず。
返事をする間もなく、マヤは無理矢理に抱き抱えられて足場から遠ざけられた。
そしてまさかの着地点を確認した彼女は、一際甲高い悲鳴を上げた。
ギガピードの長い長い背中。
「よっ……と。着地成功。デカい割に案外スリムなこった」
残念ながらそのジョークはマヤの耳に入ってはおらず、彼女は『嘘だ』『夢だ』『まやかしだ』と呪われたように呟いていた。
「それじゃあ……派手にやるか!!」
銃を胸の前でクロスする、ダンテ一番の決めポーズで構えてみせ、彼のダンスが始まる。
銃で撃ち、剣で斬った殻が砕けて防御が格段に下がると、ギガピードはもがきながら2人を振り落とそうと体を捩った。
「マヤ!俺に掴まれ!!」
マヤがしかとしがみついたところで、2丁の拳銃から鉛の雨をギガピードの長い体に1発も外さずに撃ち込むダンテ。
これにはギガピードも堪らず悲鳴を上げた。
「やった!効いてるよ!」
「ああ!……だけど、このままじゃヤバイ」
「え?」
間近にあるダンテの顔を見ると、彼は進行方向を見て苦笑した。
「このままだと、コイツのお家にお邪魔しちゃうな」
つまりはギガピードの穴の中に入ると言う事。
「えぇーっ!?そんなの嫌ァ!!」
「俺もだよ。お茶の1つも出してくれそうにないしな」
それだけ言ってギガピードの背中から飛び降りる。
「仕方ない。地道に銃で倒すか」
「うん!」
マヤもショットガンを手にして強く頷く。
「多分アイツの攻撃手段は、あのデカい口で食べる事ぐらいしかなさそうだな」
「だったら、それだけに気をつければ問題ないね!」
そのやり取りの最中、態勢を立て直したギガピードが穴から出て来た。
「準備はいいか?マヤ」
「うん!」