ギガピードとの戦闘を繰り広げた広間に戻った矢先、2人の足がピタリと止まった。
「ダンテ……」
「ああ。さっきはこんな洒落たモンはなかったよな」
目の前に置かれた、あからさまに怪しい大きな杯の石像を睨むと、予想通りの展開が彼らを迎える。
「さっきはドア開けるのゴクローさん!」
ジェスターの声だ。
けれど今回は声だけで、近くに気配はない。
「そんでもって、地獄へようこそ!!」
「!」
石像に違和感を感じて顔を上げる。
「俺からのプレゼントだよ!遠慮せずに受け取ってチョーダイ!だって俺達、もう友達じゃん?」
ジェスターの高笑いが部屋に響くと、石像から血が泉のように溢れ出て来て、大きな杯を赤で満たす。
零れた赤が杯を支える鳥のような石像まで滴ると、その石像の目が黄色く光った。
『ドンッ!!』
枷を外したように、石像が群を成して羽ばたき、真っ赤な体を旋回させて2人の周りを飛び交う。
「エニグマみたいなパターンは嫌なのに~!!」
本来動くはずのない物が始動するのが嫌いだと
マヤが叫ぶと、ジェスターの最後の挨拶が響いた。
「まっ!坊や達がブラッドゴイルごときにやられるとは思ってないけど、余興だと思って楽しんじゃって!」
それを合図にブラッドゴイルが一斉に襲いかかる。
「もう嫌ぁーっ!!」
マヤが伏せて攻撃を交わす中、ダンテは足で背中の剣を蹴って空中でブラッドゴイルを裂く。
宙に舞う剣をキャッチすると、流れるように別のブラッドゴイルを斬り払った。
「これがプレゼント?……もうちょっとマシなのを期待してたぜ」
「充分過ぎるよ~っ!!」
「大丈夫。数は大した事ない」
言うなり目の前のブラッドゴイルを斬った時、ダンテは『しまった』と呟いた。
真っ二つにしたブラッドゴイルが分裂して数が増えてしまった。
「えぇーっ!?剣が効かないの!?」
「多分ケルベロスでも同じだろうな。……さて、どうするかな」
「ダンテ~!!」
リベリオンを仕舞ってのんびりと歩きながら考え、単純に出た答えは1つ。
「銃しかないよな」
雨のように銃弾を撃ち込むと、ブラッドゴイルは分裂せずに今度は石化して静かになる。
「銃なら効くんだ!」
「そうらしい……なっ!!」
体が液状の時には効果がなくても、固体化させれば大丈夫だろうとスティンガーでブラッドゴイルを砕いた。
「
マヤもショットガンでコイツを固めてくれないか?」
「えっ!?」
「さっき言っただろ。2人で頑張ろうって」
「……言いました」
「じゃあよろしくな」
戦いの事ではなかったが、こんな状況では仕方がない。
マヤもショットガンを構えてブラッドゴイルを睨み、散弾を撃ち込んだ。
彼女が石化させた悪魔をすぐにダンテが砕く流れがしばらく続く。
「もうっ!!今度ジェスターにあったら、絶対に文句言ってやる!!」
「ならその時は俺も付き合おうかな。アイツは一回ぶん殴る」
最後のブラッドゴイルが、ジェスターに仕置きを決意した2人に因って砕かれた。
第4話⇒