状況が打開されぬまま、ムカデは
ジャンヌを掴んだ状態で再度プールの中へ移動を開始した。
邪魔をされないよう、狭い場所で
ジャンヌを喰らおうと考えたのだ。
(このままじゃ……!)
意識が霞む中、にある物が目に止まった。
さっきビリーが檻を吊り上げた機械だ。
(あれだ……!)
「ビリー!下がって!!」
言うなり、
ジャンヌのハンドガンが火を吹いた。
撃った弾は巻き上げ機の鎖に命中し、鎖は繋ぎ目を失って千切れると、その連鎖で吊り上げられた檻は大きく音を立てながら落下。
檻は
ジャンヌの狙い通りに鋭い部分で見事にムカデの胴を貫いた
ムカデが断末魔を上げながら身をよじらせた拍子に拘束が解け、
ジャンヌはプールの外へと投げ出されると、巨大ムカデはそこで息絶えた。
「
ジャンヌ!」
倒れる彼女の元にビリーが駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「体中がズキズキするわ……」
「ずっと絞められてたんだ、無理もない。……それにしても、
ジャンヌの機転には正直驚かされたぜ。まさかあの距離で鎖を撃つなんてな」
何メートルも離れた鎖を撃ち抜くには、相当の技術が必要な事をビリーは知っていた。
だからこそ、彼女の発想と銃の腕前には驚かされたのだ。
「私……夢中だったから……。こんな所で死ぬのも御免だしね……」
生きる為の本能……とでも言おうか。
軍で養われた判断力と銃の扱いに、彼女は改めて感謝をした。
「少し休んで、それから出発するぞ」
「そうね……。新しい道も開けそうだし……」
ジャンヌは入手したばかりの赤い鍵を照明に翳した。
しかし2人はまだ知らない。
他にも汚染された生物がいる事と、この養成所の隠された大きな秘密を……。
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