第5話~雨の再会、涙の離別~
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青の台座には『知』、赤の台座には『技』と書かれている。
「この俺に知力と技を試そうなんて、百年早いぜ」
ニッと歯を見せて余裕を露にするダンテと、眉を寄せて悩むマヤ。
「なぞなぞとか頭を使うのは得意だけど、技となると足手まとい確定だなぁ……」
「だったらマヤの得意な方から行こうぜ」
有無を言わさずにダンテが彼女の手を取って、青の台座……知の試練へと強引に突入した。
知の試練に入れば、4つの入口が前後左右にあった。
後ろは今入って来た場所だから、進むのは他3つの門だろう。
「……見たところ試練らしいところは感じられないね。でもきっと知識を試されるヒントがあるはず……。む~う、ダンテはどう思……あれ?」
ところが慎重に分析するマヤの横にダンテはいなかった。
顔を上げると、入ってすぐ正面の門を潜っているではないか。
「すごい……。ダンテ、もう謎を解いたんだ」
感動するマヤは尊敬の眼差しを向けるも、直後にダンテの間の抜けた雄叫びが響いて表情を引き攣らせた。
「ど、どうしたのダンテ!?」
思わずそのゲートに向かって走り出すマヤだったが、それを背中に携えた双剣が止めた。
「待て!行くなマヤ!」
「あの様子、どうやら不正解の道を選んだようじゃ!」
「だ、だったら尚更ダンテが心配だよ……!」
「ダンテなら心配はいらない。せめて汝だけでも、この試練を越えるのだ」
「……私1人で?」
途端に不安がるマヤ。
今までダンテがいたのに、今回は完全に逸れてしまったから無理はないが。
けれどもアグニとルドラは力強く言った。
「安心しろ」
「我ら兄弟も汝と共にいる」
悪魔にも関わらず、主と認めた自分を励まそうとする彼らの姿が嬉しく、マヤはつい浮かべそうになった涙を拭って頷いた。
「……そうだよね。私1人じゃなくて、アグニとルドラがいてくれてるんだもんね」
「うむ。―――闇雲に門を潜っても戻されるか……」
「あるいは別の試練の間に飛ばされるかじゃ」
「正解を導き出して、その通りに進まないとダメなんだね」
「そういう事じゃな」
早速正解に到達する為のヒントを探そうとすると、アグニがうろ覚えの手がかりを教えてくれた。
「入口の台座にこう書いてあった」
続きの言葉を聞くと、マヤは『ふむ』と一回だけ頷いた。
そして各門の上を見遣ると、明かりの数がそれぞれ違うのに気づく。
(……そっか!!)
「分かった!!」
指をパチンと鳴らすなり、マヤは駆け出した。
彼女が入ったのは明かりが4つの門。
次が2つ。
最後が3つの門。
それまでマヤの足取りが衰える事はなかった。
「……あっ!!」
3つの明かりの門を潜ると、部屋の真ん中に台座が。
その上には青い宝石が静かに鎮座している。
「それは叡智の真髄じゃ」
「さっきはめ込まれていた闘争の真髄と同じ役割がある」
「あとは絶技の真髄のみ」
「絶技の真髄か……。じゃあ技の試練をクリアすればいいんだね!早くダンテと合流しなきゃ……って、そういえばダンテは?」
逸れたままの彼は今どうしているだろうか。
「すぐに部屋に戻らなかったから、恐らく他の試練に飛ばされたのだろう」
「えぇっ!?」
「追うか?」
「うん!早くダンテと合流しないと!叡智の真髄も渡さないといけないしね!」
当然だと言うマヤは知の試練を発った。