捜索
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「これよ。この時計がロック解除の装置になってるみたい」
ジャンヌが見るのは短針だけの時計盤。
これを動かせば会議室と作戦司令室のロックを解除出来るのだ。
セットした針をメモにあった開錠コードである“8時15分”に合わせた。
そして脇のボタンを押すと、部屋の真上に設置された大きな鐘が養成所全体に響き渡る。
当然、一番近い位置にいる2人には騒音でしかなく、耳を塞ぎながら様子を伺った。
―――鐘が鳴り止むと、轟々と音を立てて歯車が回り始める。
「……解除されたの?」
「調べなきゃならないか……。ここからなら2階会議室が近いから、そこから回るぞ」
もう1つの作戦司令室は後回しにして、まずは近くの会議室のロックが外れているか確認しに行くのが決定した。
会議室と印されたプレートは埃を被っていて、たまに綿ぼこりが下にふわりと落下する。
「中の音が聞こえないわ……。気をつけて入りましょう」
ビリーが拳銃を片手にノブを捻り一気に扉を蹴り開けると、3体のゾンビが呻き声を出して接近して来た。
近くのゾンビから倒し、安全を確保していくビリーとジャンヌ。
呻き声が消えたのを確認すると、黒く沈んだ樹海が広がる様子が見える窓を伝い、部屋の奥にある暖炉に寄る。
火の付いた暖炉の上には1つだけ機械的な物が置かれていた。
ジャンヌはそれを手にするとラベルを読み上げる。
「マイクロフィルムB……?騎士像のロックの解除ってまさか、入口の扉を開ける為の……!?」
ここでやっと脱出の光が見えたがジャンヌは気づく。
フィルムには『B』とある。
という事は勿論『A』もあり、かつそれも必要だという事。
「こんな広い中でもう1つフィルムを探さなきゃいけないなんて……」
肩を落とすジャンヌにビリーが言葉をかけようとした。
だが次の瞬間、何かが彼の足を強い力で引っ張った。
倒したのとは別の、机の下の死体がゾンビになって蘇ったのだ。
「ビリー!!」
「っ……このっ……!!」
渾身の力でゾンビの頭部を蹴り上げると、腐敗の進んでいた首が胴体から離れた。
……瞬間、ジャンヌは顔面蒼白。
どうしたのかと思い、硬直したままの彼女を呼ぶが……。
「……ビリー、そのブーツ……」
「?」
「……洗うわよ」
正直、優しいとは言えない声のトーンで詰め寄るジャンヌ。
「そんな汚いブーツで隣を歩かれたくないって言ってるの!!いいから来てっ!!」
「オ、オイッ……」
反論する間もなく、ビリーはジャンヌに腕を引かれてある場所に連れて行かれた。
その場所とは、食堂にある赤い扉の向こうの厨房だった。