遭遇
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死体が動くなんて、ホラー映画じゃあるまいし……。
しかし現に目の前にゾンビと呼べる“もの”が自分に襲いかかろうとしている。
本能と咄嗟の判断で逃げようとしたジャンヌだが、振り返った先にも従業員と乗客と思われるゾンビがひたひたと確実に歩み寄っていた。
逃げ道を断たれた上に挟まれてしまった以上、戦うしかない。
確かな判断を自らに下すと、ジャンヌは銃を紳士に向かって構え、躊躇う事なく引き金を引いた。
一発目、両肩。
怯むだけで足の進みは衰えない。
二発目、胸。
心臓の位置を撃ち抜いても変わらない。
ならばと撃った三発目、頭。
眉間に風穴を開けられた紳士はここでやっと後ろに倒れ、床に赤い痕をじんわりと広げる。
ジャンヌは間髪を容れずに後ろの2体の頭にも銃弾を浴びせると、ゾンビは膝から崩れ落ちて二度と活動を行う事はなかった。
安全を確保した後、床に横たわる死体を見てジャンヌは呟いた。
「どうなってるの……!?確かに死んでいたのに……!」
死体が動くなんて有り得ないが、目の前で起きた以上信じざるを得まい。
―――まだ体が震えていた。
もしあのまま攻撃を開始していなければ自分は―――……。
「情けないわね……。まだ震えが治まらないなんて……」
未だ震える手で銃弾をハンドガンに込め、空笑いをして次の車両へ進んだ。