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―――気配は消えた。
謎の影の正体を確かめるべく、ビリーはジッポ式ライターで倒れるものを確認すると、それはウイルスに感染して巨大化した毒蜘蛛だった。
これには流石の2人も言葉を失くした。
「蠍といいムカデといい……。デカければいいってモンじゃないだろう……」
「しかも毒性なんて……最悪だわ……」
虫類が巨大化するのはウィルスの関係上仕方ないとしても、ジャンヌの言う通り、毒があるのは厄介だ。
「血清は……あるとは限らないな」
「そうね。こればかりは出来るだけ逃げるようにしないと……」
また嫌な不安要素が増えた。
ウィルスに感染して生きる屍になるか。
ここから永遠に脱出が出来ずに餓死するか。
蜘蛛の毒で生き絶えるか……。
次第にジャンヌから自信が抜けていきそうだった。
考えてみれば、あの護送車の事故現場に向かわなければ、こんな事件に巻き込まれる事もなかった。
今頃は自宅のベッドで眠りに就いていたはずなのに……。
(そもそも車がエンストしなければ良かったのよ……)
自分の不運を呪うジャンヌ。
せめてもの救いは、こんな場所にいるのが独りではない事ぐらいか。
「……ビリー。確認だけど、私達がここで探すのは出口と2枚のレリーフよね?」
「ああ。それがどうかしたか?」
「……ううん。色々考えてたら混乱しただけよ」
さっきとは逆に、自分の心配をしていたジャンヌの事が気にかかるビリー。
せめてもの手助けとして、彼女の背中に掛けられたショットガンを手にした。
「これで少しは軽くなったか?」
どことなく意地の悪い言い方だが、ビリーのその表情は自分を思ってか、いつもよりも柔らかいとジャンヌは感じた。
今までの彼ではないようで、無意識にジャンヌの熱が顔に集まった。
「……ジャンヌ?」
「あ、ありがと……!でもまた後で私が預かるわ!何か悪いし……」
「……分かった。じゃあ俺が疲れたらジャンヌに返してやる」
「意地悪ね。あなたが疲れた姿なんて想像もつかないわよ」
少しでも互いに弱い一面を見せたからだろうか、会話の刺は丸くなっていたのだが、当の本人達はその事に気づいていないようである。