「あなたにも力を貸してあげるわ」
「本当?」
「ええ。可愛いあなたを襲う下等な悪魔が来ても、私の操る蝙蝠と電撃が守ってくれるわ」
「ネヴァンが使ってた、あのバリアだね」
「ええ、そうよ」
ネヴァンがそう言って投げキッスのポーズをすれば、紫色の小さな光が
マヤの中に溶けて消える。
「……本当はもっと別の力を貸したいけれど、あなたの体に負担をかけたくないから……これで許して」
気遣かってくれたのに謝られて戸惑う
マヤは、慌てて首を振った。
「ううん。寧ろありがとう!こんな私にまで力を貸してくれて!」
「お礼なんていらないわ。私が好きでしてる事だもの」
「……ふふっ、何だかネヴァンがお姉さんみたい。嬉しいなぁ」
「…………」
自分が悪魔である理性が、ネヴァンの中で呆気なく再生不能な程に崩壊した。
「
マヤッ!!」
「ふわあっ!?」
実体化して抱きつかれた
マヤがじたばたともがく。
ネヴァンの格好を考えれば無理もないが。
「大好きよ!マイスイート!!」
「マ……!?ちょっ……は、離してよネヴァン~ッ!!」
マヤが間延びした悲鳴を上げると、勢いよく劇場の扉が開け放たれた。
「どうした
マヤーッ!?」
「……あら。呼ぶまで入らないでって言ったのに……」
ダンテの登場にがっかりするネヴァンが呟くと、
マヤからそっと離れた。
「困った時はいつでも呼びなさい、
マヤ。私はあなたの味方だから……」
最後にそう言ったネヴァンはギターの姿に戻って、以来沈黙する。
「何があった?」
「え?……何か『スイート』って言われて抱きしめられた……」
「…………」
ダンテは「ネヴァンもか」と頭を抱える。
「
マヤ、そのピュアさを忘れんなよ」
「え?」
抱きしめられつつ、きょとんとする
マヤ。
「他の悪魔から守ってやるからな」
「大丈夫だよ。私も少しは戦えるから」
「……そうじゃないんだけど……まいっか」
ダンテの背中に担がれたネヴァンと、当人に背負われたアグニとルドラがダンテに同意していたのは、ここだけの話である。
第8話⇒