狩人
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「何かあったか?」
「んー……。奥に何かあるみたい」
今、ジャンヌはビリーの肩の上に座っている体勢になっている。
始めは肩車を提案されたが、当然のようにジャンヌが頑なに拒否したところ、この体勢に決定したのだ。
ゴトッと重量感ある音がすると、ビリーの肩にかかる重みも同じぐらい増した。
「きゃっ!重っ……!!」
ふらつくジャンヌの体を慌てて支えると、そっと彼女を降ろした。
その彼女が持って……いや、担いでいたのは大きな銃器。
「ロケットランチャー……いや、榴弾がセットされてるから、グレネードランチャーだな」
「よくこんなものが残ってたわね……」
まるで新品のような光沢の武器を有り難むように撫でるジャンヌ。
あとは特に使えそうな物はないので、さっき入手したハンドガンパーツで拳銃を改良する事にした。
適当な所に腰をかけ、ジャンヌは再び両手の中で銃を踊らせる。
ビリーもその隣に座ってその様子をじっと見つめた。
「よく自分で修理するのか?」
手慣れているのが余程気になったのだろう、ビリーはジャンヌの顔を覗き込むように尋ねる。
「そうね、結構するわ。元々趣味で始めた事だけど、不思議と落ち着くのよね。やっぱり血筋かしら」
軍所属の親から生まれたのだから当然かとクスッと笑うジャンヌ。
それでも彼女の手の動きは止まらない。
「ビリーにもある?そんな趣味とか特技」
ジャンヌは1回だけ彼を見ると、視線をまた愛用の銃に戻す。
ビリーはというと、改めて聞かれると思い浮かばず、困ったように天井を仰いだ。
「忘れた……な」
そんな人並みの事を考える余裕があったのは1年以上も前の事だ。
『忘れた』という答えも納得が出来る。
「なんだ。残念」
「?」
「私の事ばかり話してもつまらないだろうし、私もビリーの事を知りたかったの」
予想外の発言にビリーは正直驚いた。
何が予想外だったか?
彼女が自分と同じ事を考えていた事だ。
それが大きく衝撃で、小さな喜びだった。
何とも言えぬ気持ちにビリーは
「思い出したら話してやるよ」
とだけ呟く。
「ええ。楽しみにしてるわ」
彼が表に出していない照れ臭さを何となく理解するジャンヌ。
穏やかに微笑むと銃を回す手をより速めた。