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彼のこの態度についにジャンヌがカッとなる。
「……っ!バカにして!!これでも私は陸軍の准尉……!」
ジャンヌが叫んだその時だった。
言葉を遮るように窓ガラスが割れ、何かが廊下に飛び込んで来た。
「犬!?」
―――そう、犬だ。
だが一目で分かる程ゾンビ化して肉は爛れ、口からはだらし無く舌とよだれを垂らしていた。
「よっぽど飢えてるのね。……言っとくけど、私は美味しくないわよ!」
ジャンヌはハンドガンを手にし、弱点である頭を狙う。
しかし予想外のスピードに焦り、ジャンヌは引き金を引き損ねてしまった。
「弾の無駄になっちゃうけど、どんどん撃ち込むしかないわね……!!」
最初はゾンビ犬のスピードに戸惑うが現役の軍人、かつ軍隊の射撃訓練で優秀な成績を残した彼女なら当然……。
『ガウン!!』
銃声の直後に犬の悲鳴。
間を置かずに銃弾を叩き込む。
―――銃の筒口から硝煙がじんわりと昇る。
ゾンビ犬を撃退し、ふうっと銃先に息を吹きかけるジャンヌ。
「……しまった。ビリーに逃げられちゃったわ……」
鍵の次は犬に気を取られすぎるとは、自分もまだまだだと頭を掻く。
歩きながら弾の補充をし、ジャンヌは食堂車を目指しつつビリーの後を追った。
時間が経過してウィルスが進行したのか、客車には新手のゾンビがジャンヌの前に立ち塞がる。
「悪いけど、道は開けさせてもらうわ」
的確に急所に発砲し、遠慮なくゾンビに銃弾を浴びせて倒していく。
……一度は死んだ、ただの人の形をしたモノ。
そう言い聞かせないと迷いが生じて命取りに成り兼ねない。
それは軍人であるジャンヌもよく知っている。
だからこそ冷酷にならざるを得ない。
「とっととビリーを捕まえて、こんなゾンビ列車とはおサラバよ……!」
恐怖こそ感じなくはなかったが、腹の立つビリーの態度を思い出してはジャンヌは憤りを感じていた。
ビリーがMPを殺して脱走しなければ今頃は……。
「……ダメだわ。まずは食堂車に行く事だけに集中しなきゃ……」
乱暴に鍵を開け、食堂車の中の厨房に入ろうとする。
ところが、自動ドアは電源が切れていて開かない。
(こんなのばっかり……)
ジャンヌが腰に手をやって溜息づくと、手には紙の感触が……。
咄嗟に持って来てしまったビリーの移送指示書だった。
「……あら?」
もう一枚、指示書の下に重なっている紙。
それを読めば、さらにジャンヌの不安を駆り立てる要素が増えてしまった。
『一度に23人殺害した容疑。精神科への通院履歴あり』
(23人も一度に……!?)
『ガチャッ』
「!?」
ゴクリと震える息を飲み込んだ直後にした物音に驚いて振り返れば、その大量殺人鬼のビリー・コーエンが立っていた。