訪れる悪夢
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「……ク。リンク!起きてリンク!」
「ぅ……ん?どうしたのルナ?まだ夜中だよ?」
「外の様子が変なの!いいから起きて!」
寝ぼけ眼を擦りながらふらふらと入口のドアを除ける。
しかし別段変わった物はなく……。
「何もないじゃん…。ルナの気のせいだよ」
「違うよっ!『何もない』んだってば!!」
『何もない』という言葉でリンクはやっと気づいた。
「妖精珠が……1つも飛んでない……!?」
「それだけじゃないよ。花や草が弱ってる……。何か変だよ!」
嫌な胸騒ぎ。
今まで草木が弱ったり、妖精珠がいなくなるなんて事は一度もなかったのに……。
「どうしてこんな……!だってこの森はデクの樹サマが守ってるから…………っ!」
―――ハッと脳裏をよぎる、悪い予感。
自分で発した言葉にリンクは冷たい汗を流した。
「まさか……デクの樹サマの身に何かあったんじゃ……!?」
今起きている事態が物語るのは、デクの樹の危機であった。
「リンク!デクの樹サマの広場に行こう!」
「ああ!」
リンクとルナはコキリの森を駆けた。
精一杯、小さな体全身を使って。
広場に行く道の前では、コキリ族の仲間が集まっていた。
しかも全員がざわついている。
「みんな!どうしたの!?」
「ミドのアニキが1人で行っちゃったんダ!」
「悲鳴が聞こえたんだけど、怖くて見に行けなくて……」
「ワタシが行くのを止めたんだけど、ミドったら全然聞いてくれなくて……」
いつもあんなに大見得を切って威張り散らしていても、こう言った場面で毎回臆病になるのが彼の恒例である。
更に、止めようとしたサリアに良いところを見せようとして、
これにはリンクも呆れるばかり。
「何やってんだよ、ミドのヤツ……!」
「リンク!助けに行こう!サリアはみんなをよろしく!」
「分かったわ!気をつけてね!」
2人はデクの樹広場に続く道を走る。
ミドの安否が気遣われるが、すぐに隅で頭を抱えながら怯える彼を見つける事は出来た。
その様子はまさに『頭隠して尻隠さず』といったところか。
「ミド!大丈夫か!?」
まずはリンクが駆け寄るが、ミドは完全に怯えきっていて、悲鳴を上げながら助けに来た彼を突き飛ばして逃げてしまった。
「助けに来てもらっておいて先に逃げちゃうなんて……!」
「でもミドは何に怯えてたんだ?この辺りは何もいないけど…」
リンクが狭い道を調べていると、一際枯れた草の葉が目についた。
「ここも草が弱って……」
屈んだ瞬間だった。
「シャアーッ!!」
「うわあっ!?」
突然枯れ草がモンスターになってリンクを突き飛ばした。
リンクを襲ったのを始めとして、続々と同じモンスターが行く手を阻む。
「ダメだ……これじゃあデクの樹サマの所まで行けないよ……」
落胆するリンクの後ろでルナが俯いて何かを思っていた。
「リンク……。あのね、私……!」
言いかけた時、初めて聞く別の声がリンクを呼んだ。
「危ないリンク!伏せて!!」
小さな何かにのしかかられたリンクがその場所に伏せると、間一髪のところでモンスターの体当たりを回避出来たが、突然の事でリンクの心臓は速く鼓動していた。
「い、今の声は……!?」
「ヘイ!こっちよ、あなたの上!」
「上って…………えぇっ!?」
見上げた先にあった……いや、いたものを見たリンクの口から素っ頓狂な声が漏れた。
昼空より少し深い青色の丸い体に、透き通る羽根。
今まで自分に来る事のなかったそれは……。
「よ、よ……妖精っ!?」
「そう!ワタシは妖精ナビィ!今日からあなたの相棒よ!よろしくね!」
「わ~!良かったネ!ついにリンクにも妖精が来たんだよ!」
手放しに喜び合う2人だが、ナビィは一気に現実に引き戻した。
「デクの樹サマの使いで来たの!今デクの樹サマは呪いをかけられて大変なの!!お願い、リンクとルナの力を貸して!」
「デクの樹サマが……呪いを……!?」
「だけどモンスターがいて広場まで行けないんだ……。どうしたら……」
「それならワタシに任せて!」
ナビィは集落の方へ向かい、2人を呼んだ。
「こっちこっち!早く!」
何故戻るのかが分からず2人は戸惑うが、ナビィにも何か考えがあるのだろうと、その小さな光について行った。