【05】間違い?!
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『ん゙ー……』
圧迫感のある何かに苦しくなり、私は重い瞼を持ち上げる。
あれ……私、寝てた……?
ようやく定まった視界に、一番手で飛び込んでくるのは黄色。クエスチョンマークを浮かべていると、頭の上から何やら寝息が聞こえる。そっと、見上げるよう顔を上げると顎髭が見えた。
……よし、いったん落ち着こう。
深呼吸をしてから、まだ本調子でない頭で状況を整理する。
私は昨日、酒場に居て皆と和気藹々過ごしていた。しばらく経って、ローに呼ばれて行くと日本刀を貰った。それから皆の輪に戻って飲み食いを再開して……再開して……。
私はそれからどうしたんだろう、記憶に無い。
予測が正しければ、この黄色に顎髭はハートの海賊団船長であるトラファルガー・ローではないか? そして、この体勢は明らかに抱き締められる格好ではないか?
頭の中で焦りや不安がグルグル回る。私は今、とんでも無い状況下なのだと。
と、と、とりあえず離れよう!
もぞもぞ動くがビクともしない。反対に抱き締められる力が強くなってしまった。そうこうしていると、ローが瞼を持ち上げて不機嫌そうに眉を顰めた。
「じっとしてろ、おれはまだ眠い」
それだけ言うと、私の肩に顔を埋めて微睡み始める。
いやいやいやいや、知らないよ!
『眠いとかの問題じゃないです。私、何でこんな事になってるんですか?!』
「……覚えてねェのか?」
『刀を頂いてから、酒盛りの輪に戻った辺りまでは覚えてます。その後の記憶が無いんです!』
離してもらおうと抵抗を試みるも、暖簾に腕押しや糠に釘と言った状況。悔しく下唇を噛んでいると、私の耳元で彼が囁く。
「昨日はなかなか可愛かったぞ」
その声の甘さに心臓が跳ねて心拍数が上がるのと同時に、ドッと汗が噴き出て思考をフリーズさせる。
何言ってんの、この人……寝ぼけてる? うん、きっとそうだ。誰かと間違ってんだ。
そう思った時、胸の辺りがチクチク痛む。何故痛むのか、今の私に答えは出ない。今はそれ所ではないから。
『じょじょ冗談は、くっ口だけにしといてください』
頭を駆け巡る最悪の事態。私が船長であるローと、“間違い”を起こしたのではないかと言う事だ。小刻みに震え出す体。
どうか嘘だと、冗談だと言ってくれ!
私のその思いは無惨にも破り捨てられる。
「冗談じゃねェ、と言ったら?」