【06】感情の意味(挿話)
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時を遡って酒盛りの晩。久遠に武器としての刀を渡したローは、酒盛りの輪に戻った彼女を見た後酒瓶に口を付ける。そこへ入れ替わるようにやって来たペンギンは、ローの隣に腰を掛けた。
「相当、彼女がお気に入りなようで」
彼女とは、間違いなく久遠の事だろう。酒を飲みながら口元に弧を描く。酒瓶を口から離す。
「ペンギン、お前は一目惚れって信じるか?」
思ってもみない言葉に、思わず含んでいた酒を吹き出しそうになった。ローがそんな事を言うとは思っていなかったからだ。
「……いえ、おれは信じませんよ。船長もそうじゃないんですか?」
「あァ、信じちゃいねェよ」
くくっ、と喉を鳴らして笑うローの視線の先を追うとクルーに囲まれて和気藹々とする久遠の姿。やはりローは彼女を気に入っているんだ、と思ったペンギンは見えないよう帽子を深く被り口元を緩めた。
騒ぎが起きたのはそんな時だ。
「大丈夫か?!」
「おい、久遠? 久遠ー?」
目を向けるとクルー達が慌てている。騒ぎの中心にいるのは、間違いなく名前を呼ばれている久遠だろう。ローは立ち上がるとクルー達の元へ行く。
「どうした」
「キャプテン、久遠が急に倒れちゃって」
慌てるベポを後目に彼女の様子を見る。顔が赤いので熱でもあるかと思い額に手を当てた。熱があるほどでもないと思っていると、ふわり彼女から漂うアルコール。ああ、成る程とローはクルー達に目を向ける。
「おい、こいつに酒呑ました奴ァ誰だ」
「酒? おれは知らねェぞ」
「おれもだ。おーい、誰かこいつに酒やったかー?」
皆が皆、口を揃えて知らないと言う。ローは大きく溜め息をついて久遠の体を担ぎ上げる。
「おれは船に戻る。後は好きにやっとけ」
「キャプテン、おれも戻るよ!」
ローの鬼哭を持ちベポが後ろからついて酒場を出た。