アゲトビレッジへ向かう途中、シャドー戦闘員の奇襲でバラバラに分断されてしまったメグミ達。
そんな不利な状況の中で現れたのは、イーブイを連れた少年リュウトだった。
「お姉さん、気をつけて!コイツらはすっごくマヌケだけど、強いポケモンを使って来るよ!」
「誰がマヌケだぁ!!ガキのくせに生意気だぞ!!」
2人の前に立ちはだかる男がムキになって吠えると、メグミはリュウトに問いかける。
「強いポケモンって……まさかダークポケモン?」
メグミの言葉にリュウトはハッとして彼女を見遣った。
「お姉さん……ダークポケモンを知ってるの!?」
「実際見たのは1回だけだけどね……。それと、私はメグミ。メグミって呼んでいいよ」
緊迫しているはずの空気の中、和やかに自己紹介をするメグミに釣られてリュウトもお辞儀をする。
「なぁ~に仲良くしてんだ!!今バトルの真っ最中だろうが!!」
「ジレル!!構う事ない!ギッタギタにするぞ!!」
「っ……そ、そうだったなペタル……!コイツらを倒してご褒美を貰うんだ!!行けっ!トドグラー!!」
「ドククラゲ!お前もだ!!」
青のジレルは玉回しポケモンのトドグラーを、紫のペタルはくらげポケモンのドククラゲを繰り出して来た。
「あのポケモンは……!」
リュウトがバトルに出されたポケモンを睨むと、彼の左耳に付けられた機械が働いた。
「オーラサーチャーが起動した……!?やっぱりダークポケモンだ!」
「ダークポケモン!?ど、どっちが!?」
うろたえるメグミにリュウトが答える。
「トドグラーの方だよ!タマザラシの時にリライブさせたんだけど、また奴らがダークポケモンにしたんだ……!」
「そんな……!」
「僕はトドグラーと戦うから、メグミさんはドククラゲの方を!」
「分かったわ!」
リュウトはそのままイーブイでバトルをするようだ。
メグミも砂地という条件から、活かせるクロスのボールを選択する。
「クロス!バトルオン!!」
「ヤジロン!岩石封じ!!」
「交わせ、エアームドッ!!」
空中から攻撃を伺うエアームドに岩の固まりが襲いかかる。
ブソンとオレンジ服の男、トリルの戦いの一方、地上ではハガネールとキノガッサが睨み合う。
軽やかなフットワークでパンチを繰り出して威嚇をするキノガッサに唸るハガネール。
「俺のキノガッサの格闘技で沈めてやるぜ!先制のマッハパンチ!!」
足場の悪さをものともせず、キノガッサは猛スピードで駆けてハガネールに強烈な一撃を喰らわせる。
攻撃力の高さはハガネールが数メートル吹き飛ばされた様子からも伺えるが、ハガネールの防御力もそれに負けてはおらず、何とか踏ん張って体勢を整える。
「何度も受けるのは流石に堪えますね……。接近したところを一気に攻撃するしか……」
キノガッサの攻撃力を警戒するバショウは防御の姿勢を構えるが、緑の戦闘服の男……ヘキルは彼の予想を裏切った。
「キノガッサ!キノコの胞子!!」
一気に攻撃を仕掛けて来ると思いきや、まさかの状態異常技の指示だった。
眠らされたら、いくら耐久性のあるハガネールでも倒されてしまうだろう。
「砂嵐!!」
防御として砂を巻き上げるハガネールだが、再びヘキルの命令は予想に反した。
「砂嵐に突っ込め!!」
草と格闘タイプのキノガッサに砂嵐のダメージは勿論ある。
なのに強行突破をさせるヘキルだが、彼なりの作戦があった。
キノガッサは守るを使って悪天候のダメージを消し、ハガネールが反応しにくい長い胴の真ん中付近に飛び込む。
噛み砕く事もアイアンテールを当てる事も出来ないハガネールに残された術は、しがみ付く敵を振り払う事ただ1つ。
しかし体を揺らす事で胞子が更に舞ってしまい、次第にハガネールの目が虚ろになる。
「くっ……!」
バショウが諦めたと同時に、鉄蛇ポケモンの瞼は完全に閉じてその場に横たわった。
振動と砂煙だけを残し、ハガネールは深い眠りへと落ちる。
「どうだ!俺達兄弟の6倍パワーの恐ろしさ!キノガッサ、連続でマッハパンチだ!!」
これ以上、効果抜群の攻撃を与えられる訳にはいかないバショウは、寸でのところでハガネールをボールに戻す。
バショウに残されたポケモンはジュカインのソプラのみ。
草ポケモン同士のバトル、長期戦になるのを覚悟でバショウはソプラのボールを宙に投げた。