メグミはアルダの手首から燃え上がる炎が強まったのを見て、次の行動に移した。
「そんな技じゃ、私のアルダは捉らえられないわよ。ゴーストポケモンらしく姿を消して、ゴーストタイプの技で攻めてみなさいよ」
この挑発的な台詞で、スキンヘッドの苛立ちが一気にピークに達した。
「上等じゃねぇか……!ゴース、お望み通りにやっちまいな!!」
命令を受けたゴースは後退して周りの景色と同化していった。
「アルダ、準備はいい?」
メグミの問いに強く頷くアルダ。
「今だ!やっちまえ!」
ゴースは突如、アルダの死角からシャドーボールを放って来た。
「ガードして!」
避けようと思えばできたのに、彼女は敢えてそれは命令しなかった。
だが急所にさえ当たらなければこっちのものだ。
「反撃するわよ!シャドーボール!!」
「バカめ!バシャーモがゴーストタイプの技を使える訳……」
『ボォォォォンッ!』
鈍い爆音の後、真っ黒になったゴースが床に落下して来た。
見事にアルダのシャドーボールがヒットしたのだ。
「バシャーモは、オウム返しって素敵な技を使えるのよ。そのツルピカの頭に叩き込んでおく事ね」
補足として、防御に専念した時もアルダはずっとビルドアップしていたのだ。
攻撃と防御を上げて受けるダメージを軽減し、こちらの攻撃を増幅させた……という訳だ。
「くぬぬ~っ!こうなりゃ力ずくだ!」
モヒカン男がメグミに掴みかかろうとすると……。
「俺の事を忘れちゃいないか?」
彼女の前に出たのはそう、猛獣使いのアキラだ。
「……アキラ、今までどこにいたの?」
「お前が怖くて離れてたんだよっ!!ま、それはともかく……」
アキラは腰にあった鞭を構える。
「俺はメグミの護衛なんでな。手を出すって言うなら俺が相手だ」
「くっ……!」
ゴロツキが後退りした時、店の外からサイレンが聞こえた。
「ポリか……!仕方ねえ、勝負はお預けだ!覚えてろ!」
そんな捨て台詞を吐いて逃げ出す2人だが、あっさり警察に連行されたのは言うまでもない。
その後、ポケモンセンターで夜を迎えた2人は明日の行動を相談していた。
「アキラ、次の町までの道のりは?」
アキラは地図の上を指でなぞるが、町の手前で指が止まった。
「……レッドコア山脈だな」
「そこって越えるのに何日もかかるって話だよね……。今日は早目に休もうか」
「それもそうだな」
メグミはふかふかの毛布に包まりながら言った。
既にうつらうつらしてる様子から、昼間の一件で大分疲れてしまったようだ。
「おやすみ、メグミ」
「おやすみ。また明日も頑張ろうね」
そして電気は消され、2人は束の間の休息を取ったのだった。
2人が離れ離れになる事も知らずに……。
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