「先程ポケモンを預けられたメグミさん、アキラさん。ポケモン達が元気になりましたので、ロビーにお越し下さい」
「おっ、もう治療が終わったのか」
ソファーから立ち上がるアキラに続くメグミ。
しかし彼女はちらちらとレオの表情を窺っていて、話の途中で席を外すのが気になるらしい。
「……2人が帰るまで待ってるから、安心して行って来ていい」
「あ……ありがとう……!」
手を振ってアキラとロビーへ歩き出す彼女を見送ると、今まで黙っていたブソンが漸く口を開いた。
「お前がスナッチ団か。どうりで同じ匂いがすると思ったぜ」
彼の言う匂いとは、裏社会で暗躍する者の事である。
だがレオとは決定的に違う事のが、彼は完全に足を洗ったという事だ。
バショウ達は離れているとはいえ、まだロケット団である。
雰囲気でそれを掴むレオもブソンに言った。
「アキラやメグミと違って、2人の目は俺に似ていたからな。俺も何となく同じ事を思っていた。……変わった4人組だな。どうして一緒に行動しているんだ?」
どうして、と聞かれると返答に悩む。
仕方なしに出した答えは「成り行きで」という短いもの。
「……大変そうだな」
他人事ゆえに軽く呟くレオ。
すると今度はバショウが質問を投げかけた。
「そのスナッチマシンで、どのぐらいのポケモンを捕獲したんですか?」
「どのぐらいか……か……。大体50近くだな。でも今はそれ以上にダークポケモンが確認されている。実際にさっきも見ただろう?」
レオが言うさっきとは、ミラーボのポケモンのマルマインとウソッキーの事である。
「ダークポケモンは戦闘マシンと思ってもいい。気持ちが高ぶるとハイパー状態と呼ばれるものになって、トレーナーを襲う事もある」
「それでさっきのウソッキーは嬢ちゃんを狙ったのか」
頷くレオ。
「特にミラーボのポケモンは強力だ。お前達に会う前にも、他の所でトレーナーを襲撃していたらしい」
「成る程……」
一旦静寂が降りるボックス席に、どたばたと足音が近づく。
「お待たせー!レオのポケモンも元気になってたから、一緒に預かって来たよ!」
そう言うメグミはエーフィを抱え、後ろから続くアキラはまたブラッキーに飛びつかれていた。
「すまないな。……どうやらブラッキーはアキラが気に入ったみたいだな」
「そうなんだよ。でもどうして俺なんだ…………わっ」
じゃれるように頬を舐められたアキラが声を上げれば、メグミはクスクスと彼を見て笑った。
「もしかしたら、同じ悪タイプのバァンの匂いが気に入ったのかもね」
「あっ。だからか」
試しにボールからバァンを出すと、ブラッキーは嬉しそうに近づいて互いの顔を擦り合わせる。
「やっぱりね」
ほほえましい光景に思わず頬を緩めるメグミ。
「メグミ、サンドパンの怪我は大丈夫だったのか?」
そんな彼女に尋ねるレオ。
「今はぐっすり寝てるわ。ダメージはあったけど、怪我はたいした程じゃないって」
怪我の程度の確認が出来たところで、話は続きに入った。