あるブロックでは他とは違い、2対2のダブルバトルらしい戦いが行われていた。
赤のモノルはドンメル、黄色のテトルはコイルでアキラとレオのポケモンに襲いかかる。
「コイル、守るだっ!」
「ドンメル!マグニチュード!」
効果のある全体攻撃の技が当たらないよう、防御の技も取り入れつつバトルを組むモノルとテトル。
「意外と考えてバトルしてくるな……」
「おいおい……!レオ、ちょっと圧されてるぞ、俺達……!」
ブラッキーとフシギバナにまだ疲労は見えないが、この状態が続くのは良くはない。
「なに、相手がコンビネーションで攻めてくるなら、そのペースを乱せばいい」
そう答えるレオはブラッキーに指示を出す。
「ブラッキー、怪しい光だ」
叫ぶでなく呟くように言うレオ。
額から放つ光でコイルを包むと、コイルは目を回してふらふらと砂を上を不規則に飛ぶ。
「成る程な。だったら俺達も……!フシギバナ、ドンメルの動きを封じろ!」
砂漠では得意の鞭も使えないので、アキラは声を張って指示を出すと、フシギバナは背中の花から黄色の粉を出す。
花粉を吸ったドンメルの顔色はあっという間に悪くなり、その場で硬直した。
「やべっ!!ドンメルが麻痺しちまったぁ!!」
モノルが取り乱すと同時にアキラが冷静にレオに尋ねる。
「今から全体攻撃をしようと思うんだ。ブラッキーは防御技を覚えてるか?」
「防御技はないな……。だがフシギバナが使える全体攻撃なんてあったか?」
「それは……」
耳打ちで作戦を伝えると、レオは納得した様子でボールを手にした。
「それはいい。相手に効果抜群だしな。……念の為に俺は“交代”にしておく」
レオが言う念の為とは、攻撃に耐えた敵からの反撃を警戒して、ただボールに戻すだけでなく、対策が立つポケモンを代わりに出す……という意味だ。
そしてレオはブラッキーを戻すと別のボールを投げた。
「出てこい、ムウマ!」
レオの新手のポケモンはゴーストタイプのムウマ。
イタズラっ子のように向かいに立つモノルとヘキルに舌を出す。
「アキラ、いいぞ!」
「サンキュー!フシギバナ!自然の力でトドメだ!!」
以前イッサのクロバットを倒した時同様、地形で技を変えるユニークな技を指示するアキラ。
地形が砂地の今、自然の力はドンメルとコイルに効果抜群の地震になって放たれた。
レオのムウマは特性の浮遊のお蔭で、地震のダメージは全く受けない。
砕けた地面に飲まれ、ドンメル達は敢えなく戦闘不能。
モノル達は悲鳴を上げながらその場に崩れた。
「お前達6人はシャドーの者だと言ったな?誰の命令で俺達の邪魔をした?」
「うっ……」
アキラとレオに追い詰められながらベルトのボールを探り、目当てのを手にするとテトルは口元を緩める。
「ミラーボの仲間って言ってたよな!?まさかミラーボの命令なのか!?」
「へっへっへ……。さ~て、どうだったか……なっ!!」
2人を振り払いつつ投げられたボールから、綿毛ポケモンのメリープが現れる。
「コイル達を倒したぐらいで調子に乗るんじゃねえよーだ!メリープ、ダークリムーブ!!」
突然現れたメリープはアキラ達に目がけて黒いオーラの渦を放ってきた。
「何だ!?」
「しまった!!ダークポケモンか!」
ギリギリのところで交わすと、テトルに続いてモノルも得意げにボールを手にして笑う。
「第2ラウンドといこうか!」
「アキラ、メリープはダークポケモンだ!向こうのポケモンは、タイプの相性に関係なく効果抜群の技を使って来る!」
「あ、相性を無視して!?」
「メリープは俺に任せて、アキラは赤い奴を頼む!」
「あ、ああ!」